【質問 No. 22156】 過去形と過去完了形の用法について |
Fujibei |
2023-06-17 12:28:29 |
久しぶりに質問させていただきますので、よろしくお願いします。
下記は、5月19日付け The Guardian のG7関連の記事から、原爆による死者数に関する部分です。
An estimated 60,000 to 80,000 people died instantly, but by the end of the year, the death toll had risen to 140,000 as more succumbed to burns and illnesses caused by exposure to radiation.
疑問点は、the death toll had risen ... の過去完了形です。その前に、died という過去形、最後の方に more succumbed という過去形があります。「過去完了形」は、「過去の過去」を表すと理解していますが、ここで過去完了形が使われている内容は、この文の中では、一番新しい状況を表しています。つまり、「即死者(died)が6万から8万人、火傷や放射能による病気でその後亡くなった(succumbed)人もいて、その年の終わりには、合計14万人が亡くなったこと(had risen)になる」ということですから・・・。
ここで、過去完了形が使われている理由が、理解できませんので、ご教示をお願いします。
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【回答】
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「過去完了形」とは、同じ「過去時制」(Past Tense)に属する表現形式で、進行形と同じく、「時制」(Tense)ではなく、「時相」(Aspect)と呼ばれております。つまり、「過去完了形」も、「過去時制」の一部であり、従って、「過去完了時相」は、あくまでも「過去時制」の延長線上にあるものなのです。そして、それが表す意味は、丁度、「現在完了形」が「現在までの完了、継続、経験、結果」を表すように、「過去完了時相」は、ある過去の一点を基準にして、その時までの「完了、継続、経験、結果」を表すわけです。従って、ご質問の the death toll <had risen> to ~ ということは、即死者と、その後に火傷や放射線のために死亡した「過去」の時点までに、14万人の人が死亡したことになった、という「結果」を表す「時相」として、使われているのです。ただ単に、過去よりも前の過去(=大過去)だけを表すわけではないのです。
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