【質問 No. 24735】 オーウェルの「動物農場」の新訳について |
庄司 大減る |
2024-05-12 19:43:46 |
学生時代に読んだ、オーウェルの「動物農場」の新訳について、今更ですが、気になるところが出てきたので、質問します。
@ Mr. Jones, of the Manor Farm, had locked the hen-houses for the night, but was too drunk to remember to shut the pop-holes.
嘗て、この部分は、「荘園農場」と訳されていたと思うのですが、新訳では、次のようになっています。
A訳: 「お屋敷農場のミスタ・ジョーンズ」
B訳: 「メイナー農場のジョーンズさん」
1. Manor Farm と大文字で書かれていることから、固有名詞の可能性もあるのでは、と考え、私は、「マナー農場のジョーンズさん」としてみました。ちなみに、B訳の「メイナー」はありえないと思います。もし、メイナーという名の荘園主を意味しているのであれば、別ですが・・・。
2. for the night ですが、A訳: 「夜になったので」、B訳: 「夜に向けて」
些細なことかも知れませんが、A訳のように、「夜になってから」鍵をかけたのでしょうか? B訳のように、「夜になる前に」鍵をかけたのでしょうか。私は、B訳の方を選びます。その理由は、for という「方向」を示す前置詞は、「目的(地)に到着した」ということを意味しないからです。
A Benjamin was the oldest animal on the farm, and the <worst tempered>(→worst-tempered). He seldom talked, and when he did, it was usually to make some cynical remark -- for instance, he would say that God had given him a tail to keep the flies off, but that he would sooner have had no tail and no flies.
A訳: 「ハエがいなけりゃ、尻尾もいらない」
これは、「神がハエをなくしてさえくれれば、尻尾もいらなくなるのに」と、ある意味ぼやいているのだと思います。
B訳: 「いっそハエも尻尾もないほうがマシだ」
これは、「ハエも尻尾もいらないのに、神は無駄なものを作った」と、これは神に、不平を言っているように思えます。私は、B訳の方がいいと思いますが、「ハエもいらなきゃ、尻尾もいらない」でもいいと思います。コマーシャルで、“No Music, No Life” というのがありますが、「音楽のない人生なんて」、「音楽なければ、人生もない」という意味ですが、これを当てはめて、「ハエのいない尻尾なんて、意味がない」という意味にもなり得ますでしょうか。
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【回答】
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@ の英文の意味は、「お屋敷農園のジョーンズさは、夜に向けて、鶏小屋の鍵を掛けたが、酒に良い過ぎていたので(鶏の)通行口を閉めるのを忘れた」ということで、Manor (house) とは、「(貴族の)荘園主の邸宅」のことで、for the night とは、「夜に向けて」という意味です。
A の英文お意味は、「ロバ(?)のベンジャミンは、この農園では、最年長で、気性も最も悪かった。彼は、滅多に話をしなかったが、話しをする時には、いつも皮肉に満ちた言葉を用い、例えば、神様からハエを追い払うために尻尾を貰ったが、いっその事、尻尾も、ハエも、ない方がいいのだが、などと言うのであった」ということです。
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